「Project Series」タグアーカイブ

東京ヘテロトピア

「もう一つの東京」に出会う、旅の演劇

ガイドブックとラジオを手に、参加者は「東京の中のアジア」13カ所を自由に旅する。地図に記された場所に辿り着き、ラジオを指定の周波数に合わせると、4人の詩人・小説家(管啓次郎、小野正嗣、温又柔、木村友祐)が書き下ろした物語が聞こえてくる。物語は「Port観光リサーチセンター」のリサーチ(監修:林立騎)から生まれたものだ。物語の朗読は、多くの場合、日本語を母語としない語り手によってなされている。宗教施設、モニュメント、難民収容施設跡地、エスニックレストラン…。見慣れたはずの「トーキョー」を異国のように「旅」する中で、作品は無数の偶然を招き入れ、参加者は自分だけの出会いを重ねる。

『東京ヘテロトピア』は2020年の東京オリンピックまで拡大を続ける。さらに広島、長崎、沖縄、台南、台北、フランクフルトなど、国内外の各都市でも「ヘテロトピア」シリーズの展開が予定されている。

東京ヘテロトピア 特設サイト

Referendum – 国民投票プロジェクト

「わたしたちの声」を集める移動型演劇プロジェクト

東日本大震災と福島の原発事故を経て、「わたしたちの声」とはなにか、どうすればそれを聞くことができるのかという問いに、演劇的な応答が示された作品。「Referendum – 国民投票プロジェクト」と書かれた改造保冷車の荷台に映像インスタレーションの鑑賞ブースが設けられ、東京と福島の中学生へのインタビューが一人一枚のDVDになって並んでいる。質問はたとえば、今一番欲しいものは何ですか、総理大臣になったら何をしますか、これから東京/福島はどうなると思いますか、今一番わからない事は何ですか、あなたの夢は何ですか…。観客は自由に鑑賞し、最後に自分自身もブースで同じ質問に答え、投票する。投票用紙はプロジェクトのウェブサイトで公開され、中学生のインタビューと観客の投票が「わたしたちの声」としてアーカイブされていく。

改造保冷車は東京都内、横浜市、福島県を巡回し、声は移動しつづけた。詩人の山田亮太と歌人の斉藤斎藤がそれに付き添い、うたの声が重ねられた。

一カ月の会期中には、トークイベントが繰り返され、鴻英良、谷川俊太郎、磯崎新、川俣正、ハンス=ティース・レーマン、赤坂憲雄、吉増剛造、原武史、吉見俊哉、黒瀬陽平、桂英史、濱野智史、和合亮一、今野勉の各氏が招かれ、政治、歴史、声、意志決定について対話を繰り返した。(これらの対話は『はじまりの対話』(思潮社)にまとめられている。)

政治への直接的な参加資格をもたない中学生の声を集め、賛成/反対に収まらない問いを投げ、うたをつくり、意志決定に至らない対話を繰り返す。それを「国民投票」と名付けることで、政治が聞き取らない「わたしたちの声」を演劇プロジェクトという枠組みで集めた。

『国民投票プロジェクト』は、続く2012年夏に東北を巡り、14年春には広島・長崎・埼玉を訪れた。中学生のインタビュー映像と観客の投票用紙のアーカイブは膨らみ、その蓄積は2011年以後の「声」を記録し続けている。インタビュー映像は水戸(水戸芸術館)、ウィーン(ウィーン芸術アカデミー)、ベルリン(ヘッベル・アム・ウーファー劇場)などで展示された。(プロジェクトは現在も継続中。)

『Referendum – 国民投票プロジェクト』特設サイト
『Referendum – 国民投票プロジェクト』フェスティバル/トーキョー11

完全避難マニュアル 東京版

観客×都市。新たな出会いを生む演劇的アーキテクチャ

山手線29駅すべての周辺につくられた「避難所」で、東京という都市と参加者のあいだにさまざまな「出会い」が生まれる。プロジェクトのウェブサイトを訪れ、質問に答えると、山手線のいずれかの駅に近い訪問地が指定され、地図をダウンロードして訪問できる。そこは宗教施設、コレクティブハウス、シェアハウス、路上生活者の集まり、出会いカフェなど、さまざまなコミュニティだ。「東京の時計」としての山手線の周辺につくられた、「東京の時間」からの避難所の数々。一時的に「避難民」となった参加者は、都市との関係を新たに築き直す。「避難」という宙吊りになった空間と時間の中で生まれる避難所/避難民のネットワークが、新たな「トーキョー」の可能性を示した。

2014年秋には『完全避難マニュアル フランクフルト版』がドイツで制作される。

『完全避難マニュアル 東京版』特設サイト
『完全避難マニュアル 東京版』フェスティバル/トーキョー10